あとがき

2015年7月開催の同期会・メール及び葉書などで同期の皆さんに投稿を呼びかけたところ、「戦時中の事はほとんど記憶にないし、父たちから戦地での話しは聞いた事がない」という返事がかなりの数ありました。

当初はその返事を深く受け止めもせずにいたのですが、『戦場体験者沈黙の記録』(保坂正康著)の中で『一般兵士たちに、「おまえたちが体験したことは銃後の国民に語ってはならない」という暗黙の強要が、とくに戦友会を通じて行われていた』という記述を読み、私たちの父が戦場での体験をなにも語らないまま鬼籍に入った理由の一端を知った思いでした。もちろん父たちが語らなかった理由はそれだけではないと思いますが。

さらに、終戦後指導者たちはGHQの戦争指導の責任追求から逃れようと一般兵士たちに緘口令(かんこうれい)をしき、「一億総俄悔」のスローガンを唱えることで「国民みんなが悪かった」と責任の所在を暖昧にしようとしました。国民一人ひとり私たちが、シッカリと事実(指導者は具合の悪い事は隠そうとするのです)を知り、一人ひとりが考えて行動することが大事だと思います。

戦後70年となり戦争を知らない世代が大半となった今日、「一億総活躍」と称した戦時中の「国民総動員」にも似たキナ臭い動きがうごめいていているようですが、そんな動きを防ぐためにこの冊子が少しでも役立つことを願って己みません。

なおこの冊子をお読みになられて抱かれた疑問・批判・感想などがございましたら、なんなりと編集委員にお寄せいただけるとありがたいと思っています。

井伊直允

 

編集後記

〇35名と、多くの方から原稿が寄せられました。全体のバランス上、枚数削減をお願いした場合もありました。快く応じて下さったことに感謝します。

〇原文をできるだけ尊重して編集作業を進めました。編集作業では、数字など最低限の表記の統一をしました。また、読みやすさを図るため、改行や小見出しを付け加えました。

〇編集委員は、井伊直允、薄井敬、大場淑子、岡田陽二、狐崎晶雄、澤井洋紀、藤岡武義、 横津喜久子です。また、深英明、橋爪正子、宮後康恒がサポーターとして協力しました。

井洋紀